2020.04.10

【1月23日・24日】地方視察会を実施しました。

地方視察会レポート

地方視察会を実施、長崎県へ視察に行ってきました。

日 程 2020年1月23日(木)~1月24日(金)
参加者 19名(事務局を含む)

2019年度地方視察会 <長崎>

【趣旨】

2019年度の活動でテーマとしてきた「知的対流とオープンイノベーション」「イノベーションディストリクトの形成」「『働き方』から地域を変える」の長崎での取組事例を見聞、考察する。

  • 産官学連携によるスタートアップ支援、ベンチャー創出支援事業
  • イノベーションエコシステム~「森」を作るための民間企業による教育支援事業 そして登録有形文化財との融合
  • 新しい働き方「トラベルワーキング」

【日程】

2020年1月23日(木)・24日(金)

【視察先】

[1日目]

  1. 長崎県庁
  2. 長崎大学
    (FFGアントレプレナーシップセンター・インフラ長寿化寿命センター)
  3. HafH Nagasaki-SAI

[2日目]

  1. 教育コミュニティ GEUDA「春海」
  2. ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)
  3. CO-DEJIMA

【レポート】

[1日目]

1. 長崎県庁

■概要
長崎県産業労働部 新産業創造課産業政策課ご担当者から長崎県の取り組みをヒアリング、新庁舎を見学させていただきました。

住 所 長崎県長崎市尾上町3-1

長崎県庁新庁舎は、日建設計さんらのJVによる設計で、東側に長崎中心市街、西側に稲佐山、南側に長崎港、北側にJR長崎駅、長崎市の中心域に位置。低層化による景観の調和が図られた、木の香りの残るハイブリッドな新庁舎でした。

吹き抜けの開放的なエントランスロビー

屋上展望施設を見学

展望施設からの眺め

新庁舎を見学。屋上展望施設では、県庁職員の方から長崎県の概要、歴史、地形についてお話しいただきました。

2. 長崎大学

長崎大学 FFGアントレプレナーシップセンター 、インフラ長寿命化センター を訪問、それぞれの取り組みについて、山下センター長、松田教授から概要をお聞きしました。

住 所 長崎市文教町1-14

FFGアントレプレナーシップセンター

■概要
2019年10月に開設された長崎大学と株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)からの寄附講座。長崎大学の学生を主たる対象として、先進的なイノベーション教育の機会を提供することにより、自立心や向上心を有するとともに、積極的に新しい価値創造にチャレンジし、自ら課題解決に取り組むことができる次世代のアントレプレナー人材の育成を目指す。
センター長 :山下淳司教授

山下淳司センター長

現在の長崎は、産業界において、雇用の確保や魅力ある新たな産業を作り出すための内発型ベンチャーの育成が急務となっています。そのような状況の中、十八銀行とふくおかフィナンシャルグループ(以下、FFG)の経営統合を機に、FFGの寄付講座として、令和元年10月1日、将来の長崎における事業創出の教育拠点として長崎大学FFGアントレプレナーシップセンターが開設されました。 英知の集積地である大学にはベンチャー創出に不可欠な研究シーズが多くあります。FFGと長崎大学が連携することによって、そのシーズを活用した新産業を創出し、将来にわたり長崎県経済の発展に貢献していくことを目指します。
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インフラ長寿命化センター

■概要
長崎大学工学部にある教育研究センターのひとつ。産学官民で協力し「インフラの長寿命化」を目指す。
技術者だけでなく一般市民も含め地元の道を見守って貰う「道守補助員」や、インフラの点検・診断を行える技術者を養成する「道守ユニット」を中心に、その他インフラ長寿命化や維持管理に関係する教育や研究を実施。
センター長:長崎大学大学院 工学研究科長 工学部長  工学博士 教授 松田 浩氏

松田教授

長崎県では観光立県を推進していますが、世界遺産の教会群をはじめとして多くの観光資源は半島や離島に点在しています。これらを有機的に結び付けるために交通インフラ網が整備されていますが、厳しい塩害環境下にある長崎県のインフラ構造物は環境劣化が進行しています。
県民共有の重要な財産であるインフラ構造物の長寿命化を図る必要があり、本事業では、長崎県と連携して、県内の自治体職員、建設・コンサルタント業、NPO、地域住民を対象とし、道路構造施設の維持管理に携わる"道守"(道守、特定道守、道守補、道守補助員)を養成しています。
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3. HafH

■概要
世界を旅して、働こう
HafH(ハフ)は、「Home away from Home=第2のふるさと」の頭のアルファベットをとったもの。住まいをシェアし、オフィスをシェアし、地方をシェアする、全く新しい形のコミュニティ。
インターネットさえあれば、どこでも仕事ができる人たちが増えていく中で、フリーランスやノマドワーカーだけでなく、企業に勤める人もリモートワークやワーケーションを通じて「旅しながら働く」という暮らし方も選べる時代が訪れようとしている中、毎月定額で、全世界のHafHの提携施設が泊まり放題というサービスを提供。
現在18の国と地域、201拠点の滞在施設が利用可能。(2020年1月現在)
https://hafh.com/

今回、HafHを運営する株式会社 KabuK Styleの大瀬良亮さんに、 HafH Nagasaki-SAIをご案内いただきました。

HafH Nagasaki-SAI

「旅しながら働く」新しい形のコミュニティ
国内有数の観光地、長崎の中心に位置するHafH Nagasaki-SAI。新進気鋭の建築家、バリスタ、本のソムリエらによる、クリエイティビティを刺激する空間です。2階に上がるとスノーピークのキャンピングツールに囲まれたコワーキングスペースがあり、ここで海外の留学生や研究生らと地元の学生、ノマドワーカーたちと地元の人々、異なる人々が泊まり、働き、集うことで出会い、交わり、新たな風土をつくっていく、現代の出島とも言えるプラットフォームです。

所在地 長崎県長崎市古川町5-21

外観

会員向けコワーキングスペース

ミーティングルーム

コンセプトは泊まれるコワーキング

あらゆるコワーキングスペースが夜の9時~10時にクローズしてしまう、これってどうなの?夜型人間もいるはずなのに、と感じた大瀬良さん。閉店時間にとらわれることなく仕事ができるよう、コワーキングスペースにドミトリーを併設、シャワー、キッチン、洗濯機も完備。利用者は全国津々浦々、世界各国から訪れます。

屋上テラスも利用可能

バリスタの淹れた美味しいコーヒーも

HafH Diversity in Residenceプロジェクト

HafH Diversity in Residenceプロジェクト」を展開。その第1弾として企画された「双子の画家のアート」、双子の画家がそれぞれ描いた全く違うアート作品が壁に飾られていました。
コワーキングスペースの提供だけでなく、HafHから様々な企画が発信されます。

大瀬良 亮氏
株式会社KabuK Style Co-CEO
1983年、長崎県生まれ。2007年に筑波大学を卒業後、電通入社。在京若手県人会「しんかめ」を主宰、原爆の実相を伝える「Nagasaki Archive」発起人として、文化庁メディア芸術祭に出展等。2015年から2018年まで内閣官房 内閣広報室に出向。2018年4月、つくば市まちづくりアドバイザーに就任。2018年11月、「世界を旅して働く。HafH」リリース。2019年9月、電通退社。

KABUK STYLE Co-CEO大瀬良さん

内閣広報室出向時代、官邸のSNSを3年間担当。世界中を回り、その過密過ぎるスケジュールから時間の感覚がなくなることも度々。この頃、「パソコンと携帯さえあれば仕事はできる」というリモートワークについて、体に叩き込まれたのだそうです。
ダイバーシティの必要性を感じていた時に、筑波大学で同級生だったもうひとりの共同代表と意気投合し、多様性を受け入れられるコミュニティづくりを目指し、株式会社KabuK Style を立ち上げ、HafHを展開することに。
直近ではNECネッツエスアイ・いいオフィス・パソナJOB HUB・ランサーズとともに「5年後の働き方コンソーシアム」発足させ、今春から実証実験を始める予定。HafHをベースに、大瀬良さんの活動は多岐にわたっています。
どこでも働ける時代に、素晴らしいポテンシャルを持つ日本に海外からどれだけの人達が訪れるのか、地価・物価の高い東京・大阪では不可能なことでも、九州長崎ならできるはず、長崎を「コリビング」市場として育てていきたいとの思いを熱く語っていただきました。

[2日目]

1. 教育コミュニティ GEUDA「春海」

■概要
孫泰蔵氏がファウンダーを務めるMistletoeが、長崎市内で起業家を目指す人から一般の方までを対象として設立した、新しい教育コミュニティ。
学び舎は、登録有形文化財に指定されている高級料亭「春海」を買い取り使用。現在、建物の修繕・改修中。2020年春開業予定。

所在地 長崎市鍛冶屋町7-48

GEUDAは、テクノロジー・アイデア・デザインの分野で見果てぬ夢や独創的ビジョンを持つ才能が集まり、お互いにサポートし合うコミュニティを形成し、新しい未来を生み出す人間を輩出することを目指します。

「起業家を目指す人」「研究者を目指す人」「企業育成人材」「学生・一般」の人々をターゲットに、課題解決型で学びを得ていく実践的な学習方法PBL(Project Based Learning)を実践。
それは、講義などによる受動的な学びではなく、よりアクティブに自らの意思による学びです。

老舗料亭「春海」

玄関までの石段

お座敷

料亭は本来、本質的にクリエイティブな場であると考え、その本質的な力を借りて、コミュニケーションを誘発する学びの場として再構築。歴史的価値、文化財としての価値を残しつつ、教育の場としての新たな建築的な機能を追加しました。

GEUDAの語源はサンスクリット語で「無色に近い」という意味。熱量が足りずに宝石になりそこねた原石の事で、これまで捨てられてきたこの原石が、近年の技術革新で再度熱処理をすることにより、輝きを増し立派な宝石に生まれ変わることができるようになりました。
宝石の原石=まだ才能を見出されていない若者
啓蒙活動・指導を行うことにより、やる気を起こさせ、次世代のイノベーターを育てていきたい、そんな思いが込められています。
改修工事を経て2020年春に開業予定。

GEUDA一般社団法人 COO 熊崎隆人さん

GEUDAのワークショップ

GEUDAでは料亭「春海」の間取りを活かして部屋ごとにワークショップを開催します。
目標はイノベーターの育成。著名な先生を招いた座学でイノベーターが育つわけではなく、GEUDAではPBL(Project Based Learning)を実践していきます。
また、よいビジネスアイディアか、そうでないかの見極めのスキルは、教科書を読んで身につくものではありません。トライ&エラーを繰り返すのみ。とはいえ、企業や大学で何度も失敗が許されるはずはなく、GEUDA春海では、受講生たちに国内外の企業や研究機関、政府や地方自治体から現実に存在するリアルな社会課題を提供、受講生たちは興味を持った課題を選び、みんなで解いていく、それを何度も繰り返すことにより、よいビジネスアイディア創出のスキルを身につけていきます。また、課題となる事案の当事者を招き、生の声を聞き、実体験を基に、課題解決方法を導いていきます。実践と一体となったワークショップだからこそ本質を知ることが可能になると考えます。

GEUDAは孫泰蔵氏の意向で受講料フリー、ただし、モチベーションの低い受講生は、ドロップアウト。そして、エイジフリー。年齢制限を設けず、小学生からご高齢者まで学ぶことができます。ただし、年齢の高い低いで特別扱いすることはなくみんな平等、本気で社会課題に向き合う人のみを受け入れます。

イノベーターとスタートアップ、起業家はそれぞれ異なりますが、比較的簡単に始められるスタートアップや起業家ではなく、GEUDAが目指すのは、その先にある大きな社会変革を起こすようなイノベーターの育成です。時代の変革に対する大きな課題を突破できるイノベーターを育て、世の中をよくしていきたい、そんな熱い思いを込めてGEUDA「春海」はスタートします。
ご自身がベンチャーである熊崎さん、培った経験に基づくお話は、とても興味深いものでした。

若女将の松本雛子さん(右から4人目)を囲んで

2. ながさき出島インキュベータ(D-FLAG)

■概要
独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する起業家育成支援施設(インキュベート施設)
長崎3大学(長崎大学、長崎総合科学大学、長崎県立大学)、長崎県及び長崎市の連携による支援体制が構築されており、入居者には長崎県、長崎市の賃料補助制度がある。
大学が持つシーズや研究成果と地域企業が持つ技術力を活用して新事業の創出・育成を図る。

所在地 長崎県長崎市出島町1-43

中小機構九州本部 ながさき出島インキュベータ チーフインキュベーションマネージャーの宮本美砂さんから施設の概要・取り組み、サポート事例についてお話しいただきました。

チーフインキュベーションマネージャー宮本さん

中小機構は、日本最大級のインキュベーター運営施設で、ハードとソフトの両面から、起業家の支援を行っています。
全国に29拠点、九州は福岡・長崎・熊本の3拠点、各地の主要大学の敷地内または近隣に立地、ネットワーク力が強みで、アクセラレーションプログラムやマッチング会の情報は、全国各拠点から得ることができ、平等の支援を受けることができます。

外観

リフレッシュルーム

D-FLAGの特徴

  • 長崎3大学と連携し、研究者の技術指導や大学との共同研究へのサポートを中心とする支援を行う。
  • 複数のインキュベーション・マネージャーが常駐し、研究課題や経営課題の解決に向けた指導・助言や専門機関の紹介等の直接的な支援を行なう。
  • 長崎市の中心部「出島町」に位置し、長崎3大学へのアクセスも良く長崎県産業振興財団等の支援機関と近接し、ビジネス拠点としても優れた立地。
  • ニーズに合わせた事業スペースの他に、共用スペースとして、会議室、商談室等が無料で利用可能。

3. CO-DEJIMA(コデジマ)

■概要
2019年3月26日に長崎出島に新しくオープンしたスタートアップ交流拠点

設立目的 スタートアップ企業や県内企業、大学、金融機関等の交流を促進することにより、 新たなサービスの創出を図ること。
運 営 公益財団法人長崎県産業振興財団
所在地 長崎市出島町2番11号 出島交流会館2階

公益財団法人 長崎県産業振興財団 理事 田口信広さんから財団の概要、施設紹介と取り組みについてご説明いただきました。

<公益財団法人長崎県産業振興財団>
長崎県の「地域経済の活性化」と「雇用の拡大」のために現場第一主義で次のような取り組みを行っています。

  1. 地場中小企業への取引拡大支援
  2. 起業、新事業展開への支援
  3. 研究開発、事業化への支援
  4. 企業誘致の推進

CO-DEJIMA施設

<CO-DEJIMAの取り組み>

  • NAGASAKI起業家大学
    スタートアップの創出や育成に必要なプログラム開催
  • スタートアップ企業との交流会
    県内外のスタートアップ企業等との交流会を始めとしたイベントや勉強会を随時開催
  • 企業インストラクター派遣・専門家派遣事業
    各種経営相談に対応できる専門家等派遣(一部有料。)

明るく開放的なセミナー・ワークショップエリア

かつて、長崎「出島」は、海外の文化などを取り込んだ唯一の港・街であり、出島で活躍した人々は、チャレンジ精神溢れるイノベーターでした。
CO-DEJIMAは、そんな「出島魂」を、現代に蘇らせる場所。
スタートアップ支援を柱に、長崎で活動する人々をサポートします。

タイトなスケジュールでしたが、幅広く視察のできた長崎の2日間でした。

企画段階からご協力いただき、視察先との調整、当日のアテンド等大変お世話になった長崎県庁の皆さま、地元ならではの知識で2日間長崎をナビゲートしてくださったKabuK Style大瀬良さん、視察会に合わせわざわざ長崎入りしてくださったMistletoeの熊崎さん、その他ご協力くださった皆々様、そしてご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。

2日間お疲れさまでした!

1日目視察終了後に茂木「二見」で懇親会を催しました。皆様と情報交換、楽しい時間をありがとうございました。

茂木「二見」にて