2019.04.24

【2018年11月29日・30日】地方視察会を実施しました。

地方視察会レポート

地方視察会を実施、沖縄県へ視察に行ってきました。

日 程 2018年11月29日(木)~11月30日(金)
参加者 17名(事務局を含む)

2018年度地方視察会 <沖縄>

【趣旨】

  • 沖縄における地域産業の課題解決の取り組みを視察し、活動の参考とする。
  • 沖縄ならではの自然環境の中での労働の考察し、新しい働き方の参考とする。

【視察ポイント】

産学官連携による地域産業支援、地方における都市整備事業、事業協創、人材育成、観光・コンベンションの誘致、インバウンド施策、プラチナ、都心での労働との対比、ストレスマネジメント、抱えている課題およびその解決策 等

【日程】

2018年11月29日(木)~11月30日(金) 1泊2日

【視察先】

[1日目]

  1. UMINCHI農園(株式会社日本バイオテック)
  2. 瀬長島ウミカジテラス
  3. カフーナ旭橋(旭橋駅周辺再開発エリア)

[2日目]

  1. 一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)
  2. 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)

【レポート】

[1日目]

1. UMINCHI農園/株式会社日本バイオテック

■概要
株式会社日本バイオテックが運営する海ぶどう養殖場。
株式会社OCC・琉球大学・糸満市経済観光部連携の産学官連携で沖縄の第1次産業振興を行う。
IoT×CO2活用の実証実験を行い、海ぶどうの生産効率が1.5倍以上の成果。プラチナを体現する取り組み。
株式会社リバネス(CEO 丸 幸弘氏、クリエイティブ・シティ・コンソーシアム アドバイザリーボード)の沖縄生産技術研究所の所長が支援している研究者が実証実験を行う。
http://www.uminchi.com/

住 所 沖縄県糸満市真栄里1931
会社設立 1985年(昭和60年)12月

※UMINCHI=海の道

株式会社リバネス 沖縄生産技術研究所 所長 見城雄太さんに、UMINCHI農園のご紹介をいただき、株式会社日本バイオテック 取締役 山城由希さんからUMINCHI農園の海ぶどう生育についてのお話を伺いました。

海ぶどうは、
海の畑=養殖で育つ

UMINCHI農園は山城さんのお父様が沖縄の海水に着目して始めた農園。生まれも育ちも東京の山城さんですが、沖縄に移住し、海ぶどうの養殖に日々取り組んでいます。

(左)リバネス 金城さん、(右)日本バイオテック 山城さん

<沖縄の海水と日照管理>
海ぶどうの成長にとって必要不可欠な一つが、最良な海水。沖縄の海水温は、年平均が25℃といわれ、暑くもなく、また、冷たすぎることもなく、海ぶどうの成長に適しています。独特な身の引き締まった粒と磯の香り、ぷちっとした食感のよさは、この沖縄の透明度の高い海水によって生まれます。
海ぶどうの成長にとって必要不可欠なもう一つの要素が日照管理。海ぶどうは、沖縄の海のミネラルをたくさん含み、さんさんと降り注ぐ太陽の光を吸収して成長していきます。
海ぶどう養殖は農業ではなく漁業(水産業)。残念なことに漁業補助金は農業ほど優遇されませんが、制度を利用し、UMINCHI農園を軌道に乗せ、現在も試行錯誤を続けています。

<IoT×CO2活用事業>
UMINCHI農場の海ぶどう生産事業の成長に大きく貢献したのが、琉球大学の研究シーズとIT企業(株式会社OCC)×糸満市経済観光部が始めたIoT×CO2活用事業。
通常、海ぶどうは夏場と冬場に収穫量が減ってしまいます。この活用事業で、水温や水流、酸性度、CO2濃度、濁度、日照量、何が影響しているのかという課題を解決するため、多くのパラメーターを常時モニタリングしてデータ解析にかけ、生育に影響するパラメーターが何なのかを繰り返し調査し、2年間の実証実験の結果「海ぶどうが育つ海水のCO2濃度を上げ、水流をつくると収穫量が増え、商品としての寿命も伸びる」ことを突き止めました。その結果、収穫量1.5倍、日持ち2倍以上という喜ばしい成果に。
産官学連携による沖縄の第1次産業支援の事例、プラチナに通じる取り組みです。

2. 瀬長島ウミカジテラス

■概要
那覇空港至近のアイランドリゾート。 c.f..羽田空港ー川崎キングスカイフロント
那覇空港から車で15分、瀬長島西海岸に隣接した傾斜地に展開する「癒しと感動のアイランドリゾート」がテーマの商業施設。
豊見城(とみぐすく)市発祥の地とされている瀬長島の自然環境や歴史文化を活かした観光拠点の整備を実現するため、施設並びに設備、サービスなど瀬長島の全体のあり方を瀬長島観光拠点整備検討委員会で検討、豊見城市の「瀬長島観光拠点整備計画」として取りまとめ開発に着手、2015年8月に開業。開発にあたっては、冝保前市長が屋台村を視察し、「街政策室」※に開発提案を依頼し、事業企画・建築計画を提案し、実現。
※街政策室:本社札幌市の北海道を拠点とした建築設計・事業計画・コンサル等を手掛ける会社。那覇市「国際通り屋台村」の企画等。
https://www.umikajiterrace.com/

施設名 瀬長島ウミカジテラス
開業日 2015年8月1日
住 所 沖縄県豊見城市瀬長174番地6
営 業 10:00~21:00
運 営 一般社団法人 瀬長島ツーリズム協会
店舗数 42店(飲食物販38店、体験・マッサージ等4店)+FMとよみサテライトスタジオ
建物数 6棟

琉球温泉「瀬長島ホテル」を併設、現在拡張工事実施中、テナントは常に空き待ち状態

■環境
空港に近いことから飛行機の利発着を目の前で見られる。
現在第2滑走路を建設中で、2020年には供用開始の予定。→完全な24時間空港へ
沖縄空港自動車道入り口にも近い。→沖縄を横断する沖縄自動車道へ直結

■瀬長島の開発

2012年 WBF社 琉球温泉瀬長島ホテルを開業
2013年 豊見城市「瀬長島観光拠点整備計画」策定
2015年 瀬長島ウミカジテラス開業

元々は県民が憩える場所としてつくられたサンセットがきれいな島。空港至近のため、帰路の空港までの団体バスルートに組み込まれており、アジアからの観光客中国人が多く、テナントも中国人寄り、物販はほぼ中国人向けです。

対岸が那覇空港

3. カフーナ旭橋(ゆいレール旭橋駅周辺再開発エリア)

■概要
沖縄県のゆいレール(モノレール)旭橋駅周辺の大規模都市整備事業
バスターミナルや商業施設、県立図書館などが入居するA街区(北工区)、金融機関やホテルが入るB1街区、行政施設が入るC街区などが一体となった旭橋駅周辺地区の整備事業。
旭橋駅周辺の再開発事業は、2000年に企業や団体などで構成するKSP推進協議会が設立され、構想の策定などを進めた。07年からB1街区などが入る南工区の工事に着手し、南工区は12年に完成、15年からA街区の工事が始まり、本年9月に各施設がオープンした。(図書館のみ12月開業)
http://www.kafuna.jp/

総面積 4万5千平方メートル
総事業費 437億円

北工区の設計監理は松田平田設計、アール・アイ・エー、国建の3社による共同企業体(JV)、施工は國場組、大晋建設、丸元建設、仲本工業の4社
全国の市街地再開発事業の中でトップクラスの規模

カフーナ旭橋は、ゆいレール旭橋駅直結、戦前は電車が通っていところ。平場のバスターミナルだった場所を中心にした大規模再開発。バスターミナルとオーパ(複合施設)から構成。オーパのメインとなるのが3F~5Fの県営図書館、開業前の図書館を見学させていただきました。吹抜けの、広く明るく開放感のある館内に新しさを感じたものの、仕組みは旧来のままとのこと、県営ゆえのことだそうですが、民間との差を感じました。

県立図書館

図書館入口 下はバスターミナル

吹き抜けの館内

館内

バスターミナル

乗降所

案内版


旭橋再開発事業に長年携わる旭橋再開発事業株式会社の駄場さんと赤尾さんから、開業に至るまでの話を聞き、施設見学を行いました。

橋都旭市再開発株式会社
駄場秀夫さん(株式会社松田平田設計)
赤尾光司さん(株式会社アール・アイ・エー)

旭橋の再開発事業が始まったのは、旭橋にまだモノレールが通っていなかった2000年、モノレール開通の計画にあわせ駅および駅前開発計画がスタート。

旭橋はもともと平場のバスターミナルがあったところ。交通の結節点とするべくバスターミナル、モノレールの駅を合わせて再開発、まちづくりができないか? 地元の権利者の提案から再開発計画が始まる。

周囲に声掛けをしたところ、どんどんつながっていき、駅周辺だけでなく南工区を含む現在の規模の再開発に。

事業化するための協議会を立ち上げ、市街地再開発事業の方向付けを行う。

床が埋まらない問題が発生。東京と異なり、テナントが集まらない、高層マンション建設も厳しい・・・

2002年~2005年の間にバスターミナルに乗り入れている4社のうち3社が経営破たん、民事再生法の適用申請。
そのため、再開発計画の中断という窮地へ。

そこで、元々はバスターミナルを起点とした再開発計画だったが、バスターミナルがあるA街区(北工区)を後回しにして、BCDE街区(南工区)を先に進めることに方針変更。

那覇バスターミナル株式会社(旭橋バスターミナルの運営会社)を傘下に持つ第一交通産業株式会社が、経営破たんした3社のうち2社を買収。長らく中断していたバスターミナル再開発計画が再開する。

2018年開業に至る。

旭橋再開発事業ヒストリー

2000年8月 開発推進協議会(地元組織)結成
2003年4月 都市計画決定告示
2003年9月 旭橋都市再開発株式会社設立
2004年3月 有識者会議発足
2004年3月 再開発補助事業開始(現況調査・測量等)
2005年1月 基本設計・資金計画実施(再開発補助事業)
2005年5月 B-1~E-1街区 (南地区)の先行着手の方針決定
2005年9月 南地区 施行認可申請
2005年12月 南地区 実施設計・権利変換計画実施(再開発補助事業)
2007年1月 南地区 権利変換計画認可
2007年6月 南地区 C・D-1・E-1街区工事着工
2008年10月 E-1街区(カフーナ旭橋パーキング)工事完了
2009年5月 C街区(カフーナ旭橋C街区)工事完了
2009年7月 D-1街区(フレスコア旭橋)工事完了・3号デッキ開通
2010年1月 南地区 B-1街区工事着工
2012年4月 B-1街区工事完了、1・2号デッキ開通
2014年3月 事業計画変更認可・北工区区域編入
2015年3月 北工区・権利変換計画認可
2015年9月 北工区・本体工事着工
2018年7月 開業(図書館のみ12月)

現在は北工区も工事終了 2018年7月開業

[2日目]

1. 一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)

■概要
ICTを活用した産業の成長戦略を提示し、産業全体の生産性と国際競争力を向上させるための司令塔として、2018年夏に官民共同で設立。
沖縄型Society 5.0(ソサエテイ 5.0)の実現を目指す。
C.F.中国深セン市、沖縄と同等の人口約140万人の国エストニア
ICTがもたらすイノベーションを、沖縄の強み・特色産業である観光業、物流業、製造業、農業、金融など各産業分野へ応用し、産業全体の振興を図るとともに、実証事業や事業マッチングを通じて得た新ビジネス新サービスを全国そして全世界へ展開。
https://isc-okinawa.org/

住 所 那覇市銘苅二丁目3番6号 那覇市IT創造館4階
設 立 2018年5月1日
理事長 中島 洋氏(国際大学主幹研究員・教授、株式会社MM総研代表取締役所長)

ご担当の瑞慶覧さんからISCOの設立目的、現在の活動、今後の活動予定などについて、大変丁寧にレクチャーしていただきました。

総務セクション 課長 瑞慶覧 桂太(ずけらん けいた)さん

「共創環境の提供」「ビジネスマッチング」「実証実験の場の提供」を3つの軸に、設立して5か月と思えないほど様々な取り組みと多くのイベントを実践しています。

目標は
・新ビジネス・新サービスをアジアへ、世界へ
 ~世界に広げる「万国津梁の沖縄」を実現し、日本経済の牽引役になることを目指す
・沖縄県全産業の経済成長
 ~先進的なIT技術を活用し、沖縄県の情報通信関連産業をはじめとした産業全体の振興を図る

今後もISCOの活動に要注目です。

2. 一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)

■概要
沖縄観光の強力かつ効率的な推進体制を再構築するため、観光とコンベンション分野を統合一元化し、平成8年4月に発足した「官民一体型」の県内唯一の推進母体。 発足以来、多様化する国民の旅行動向や国内外観光先進地との熾烈な競争などに対応すべく、国内外における誘致宣伝事業の展開及び受入体制整備事業の推進や観光・リゾート関連産業の人材育成、多彩なイベントの開催などにより、新たな観光・リゾート産業の一層の活性化に寄与している。
https://www.ocvb.or.jp/

住 所 那覇市字小禄1831-1 沖縄産業支援センター2F
設 立 1996年4月
会 長 平良 朝敬(かりゆしグループ代表)

OCVB事務局長の目島さんから、OCVB概要、沖縄観光産業の現状と課題、課題解決の施策、今後の展望と取り組みについてレクチャーいただきました。
事務局長 目島憲弘さん/広報チーム 野村朝子さん

OCVB事務局長 目島さん
かつての姓は目取真(めどるま) 戦後に改姓して目島さんに。
沖縄では3文字姓を改姓することが多いのだとか。

■組織

  • OCVBは、総務部、企画・施設事業部、誘客事業部、受入事業部の4事業部により構成される組織
  • 4事業部とは別に、会長直轄の営業戦略推進室を設置しているのが特色。旅行会社の視点を重視し、営業戦略推進室は各旅行会社からの出向者が所属。

■従業員
従業員は総勢約250人、誘客事業部約40人、受け入れ事業部約35人、この2事業部だけで約75人が在籍。観光団体としては全国でもまれな大きな組織。

[職員総数] 256人

[内訳]

県派遣 4人
県OB 0人
県職併任 0人
プロパー 39人
その他 16人
嘱託等 197人

2017年7月1日現在

■沖縄観光の現状

2017年度沖縄入域観光客数(OCVB資料より)
9,579,900人
国内客 6,887,900人 (72%)
外国客 2,692,000人 (28%)

空路 合計 8,532,900人(89%)
海路 合計 1,047,000人(11%)

  • 昨年度9,579,900人。メディアでハワイ超えを取り上げられたが、ハワイが上方修正したため、ハワイが8000人上回る結果に
  • 6年前までは98%が国内客だったが、現在は国内客70%外国客30%
  • 海外から海路で来る人が100万人超え

2017年度の沖縄県観光収入:6,979億2,400万円

爆買いが落ち着き、現在消費額は微減
目標:ひとりあたりの消費額¥93,000

■沖縄観光産業の課題

沖縄の観光産業はこの数年右肩上がり、好調を維持するも、以下の課題あり。

  • 観光客数の月別バラつき
    雇用・経済を安定化のため、平準化が必須
  • 観光客ひとりあたり消費額が少ない
    観光客の県内消費額 ¥72,853
    目標 ¥93,000
  • 飛行機の便数増に伴い、滞在日数が減少
    30年前 約5.2日
    現在 約3.8日

観光産業は沖縄産業の主軸であり、OCVBは沖縄産業における重要な組織。そして観光客の増減は、交通事業者、食品、クリーニング業者など、沖縄県のほぼすべての産業に影響します。
そのため、観光産業の課題を解決することは、沖縄の発展・安定につながり、OCVBでは課題を採決するべく国内・海外プロモーションを展開、クルーズ船市場の拡大、県内向け観光産業の理解を得るための活動等、様々な施策を行っています。

過去の見直しをするだけでなく、先の予測を示し、観光業界と連携していくことがOCVBの重要な役割。2020年後の観光産業の推移に注目です。

駆け足で回った2日間でしたが、沖縄の産業を概ね網羅、ISCO、OCVBでは担当者の対応がよく、質の高いレクチャー、質疑応答を受けることができ、内容の濃い2日間となりました。
現地でご対応くださった方々、ご参加くださった会員の皆様、どうもありがとうございました。