【3月22日】ブレスポ第5回「移動のシェア」 ー社会に許容される仕組み・デザインとはー が開催されました。
はじめに、ファシリテーター桃田 健史氏(ももた けんじ)による自己紹介とともに、昨今のクルマ社会の課題について語って頂きました。一つは、クルマのコモデティ化。クルマのコネクティビティから交通システムが変わる可能性を示唆されました。また、田園都市線沿線の将来課題としてモビリティの改革の必要性に触れられました。
それらを踏まえ、実需を見つめ、製造としての自動車産業とサービスとしての交通を分離した視点から、新しい交通システムの創案を求めました。
アイスブレイクのあと、横浜国立大学の中村文彦(なかむらふみひこ)先生からショートプレゼンが始まりました。
シェアの2つの視点として、個人的な利用の交通具のシェア、交通具の時空間のシェアを語り、ビジネスとして、AutoLibをはじめとするカーシェアリング、続いてサイクルシェアリング、バンコクのシーロレック(ミニバス)をご紹介していただきました。
その上で、論点の整理として、新しい技術体験の場の提供や安価な提供による新しい生活パターンの創生、更に社会的意味を伴うこと-などを挙げられました。そして、新しいビジネスの提供、新しい気付き、空間のシェアによる交流とそこから生まれる街づくりの可能性について語っていただきました。
続いては、メルセデス・ベンツ日本株式会社の村上茂泰氏(むらかみしげやす)です。親会社であるダイムラー社の4つの成長戦略領域の一つが、「新しいモビリティサービス」の提供であり、その取組のひとつとして全世界で1万2千台以上100万人が利用するcar2goを紹介いただきました。そのコンセプトは、「まちじゅうマイカー、どこでも駐車場、乗りたい時が借りるとき、行きたいところが返す場所」。50~60km2のエリアに300台程度の車両を運行することで、街中を5分歩けば車が見つかり、好きなところで乗り捨てることができるワンウェイ(乗捨て)方式のカーシェアリングです。さらに、横浜市でのワンウェイカーシェアリングのプロジェクトを紹介しながら、日本における3つの課題として、「自治体からのサポート」「コストの壁、駐車場」「法律の壁」(車の数より多い駐車場、駐車場のシェアが不可欠)を挙げました。
最後は、中島幹彰氏(なかじま もとあき)です。世界で100以上の地域で10万台以上の自転車がシェアされており、その代表であるパリのVelibの成功要因として、ステーションの連続性と網羅性を挙げました。Velibが主に通勤通学に使われているのに対し、日本では観光地でのサービスが多くほとんどが赤字です。都内のシェアサイクルでも、ユーザーはエリア外からの来街者が多い状態です。また、初期投資が高すぎるため採算にのることができないことが多いという課題があることご紹介いただきました。
休憩を挟んでのブレスポ後半戦はグループセッションです。
桃田氏より、「神奈川県知事として、移動のシェアをテーマに4年以内の実現を目標にベースプランを考える」というテーマが与えられ、グループセッションを開始しました。
SNSを使ったシェアユースのコミュニティや、規制緩和などのラストワンマイルビジネス特区、空港で海外からの外国客に自転車に乗り換えて川崎にきていただくなど多彩なアイデアが出ました。
優勝チームの決定は、参加者とプレゼンターのポイントにより決まります。各チームの中から、「出発地や目的地を地図上で入力する経路案内サービスで、シェアリングの情報を提供し利用を高めるとともに、シェアリング一番の課題である再配置をポイント付与により余暇のある人に手伝ってもらう。」というアイデアを出した、Aチームが最も多くのポイントを集めプラチナブレイン賞を取りました。
試合後は、プレゼンターと参加者が混じっての懇親会を開催し、移動のシェアについて熱い議論が交わされました。