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イベント

2月22日(火)、玉川髙島屋S・C アレーナホールにて、クリエイティブ・シティ・フォーラム2012が行われました。

フォーラムはクリエイティブシティを必要とする背景や実現するためのオープンイノベーションの手法に加えクリエイティブ・シティ・コンソーシアム(以下、コンソーシアム)が2010年の設立以来活動してきた成果をビジュアルで表すオープニングから始まりました。

本編は第1部「エッジシティにおけるクリエイティブ・ワークスタイル」、第2部「都市における生物多様性とは?」、第3部「位置情報サービスがくらしを変える」の各テーマ別のトークセッションが行われ、メディアをはじめ各界で活躍するパネリストたちが、活発な提案や意見交換を行い、クリエイティブシティを実現するためのヒントも、数多く発表されました。

また、最後には、フォーラムの主旨でもある「オープン・イノベーションが人・街・社会・ビジネスを変えていく」と同様のテーマで、コンソーシアム副会長の松島克守東京大学名誉教授による講演も行われました。

世田谷区二子玉川地区をモデルとした、クリエイティブシティ。会を終えて、目指す未来へと大きく一歩近づいたことを、パネリストはじめ、総勢270名の参加者の多くが実感したことでしょう。

なお、会場では、多摩川の源流水入りペットボトルも配布されました。これは1本につき10円が「源流の森再生基金」に寄付され、多摩川源流域の人工林の再生活動に役立てられます。

フォーラムの模様は、Ustreamを使ったインターネットによるライブ中継(アーカイブを公開中)がされると同時に、会場のサブモニターでは、参加者、ライブ視聴者、スタッフがtwitterに投稿したコメントも表示されました。

当日の概要と、参加者の発言主旨は下記の通りです。

オープニング

オープニングムービーの後、東浦実行委員長がビジュアルプレゼンテーションを行い、コンソーシアムの目指す未来像の提示、3つのトークセッションのイントロダクションがありました。

プレゼンテーション資料はこちら

(開会ご挨拶)

小宮山宏 クリエイティブ・シティ・コンソーシアム会長

私たちにとって、多摩川は財産です。1千万以上の人口を要する都市にありながら、鮎が遡上するような川は、世界でも稀にみる例です。この美しい川と、カタリストBAから生まれるクリエイティビティ、それら全体が相乗作用を働かせ、世界に誇る新しいモノを作っていくのだと思います。
それらをベースに、今年の重要な課題をあげるとしたら、「ブランディング」でしょう。コンソーシアムをブランドとして世の中に発信していくことこそが、中身の活性化につながります。新しいことにチャレンジする際、どうしてもブランドは後からついてくるもの。今年は、ブランドを前面に出して、今ここで起きていることを、より多くの人に知ってもらう活動をしていこうではありませんか。そのための起爆剤となる議論が、今日のフォーラムで議論されることを期待しています。

(来賓挨拶)

三又裕生(経済産業省 商務情報政策局 情報政策課 課長 )

私が伝えたいのは、「企業が主役であること」「ピンチをチャンスに」「価値創造経済への転換」という3つのポイントです。東日本大震災、その後の急な円高、少子高齢化、アジアの台頭など、今、日本は多くのピンチに直面しています。こうした社会的な課題に対して、イノベーションによってソリューションを提供するということ、クリエイティブ・ビジネスの活性化を通じて価値創造経済への転換していくこと。それが、日本の経済・産業がめざす方向性だと思います。
企業が主役となって進められているクリエイティブシティへの取り組みは、今後、大きなビジョンを具現化するショーケースとなっていくのだろうと期待しています。

クリエイティブ・セッション1:エッジシティにおけるクリエイティブ・ワークスタイル

「エッジシティにおけるクリエイティブ・ワークスタイル」と題して行われた最初のトークセッション。二子玉川という東京の西端にあるエッジシティとして、未来のオフィスのあり方、クリエイティブな働き方について、パネリストの方々に語っていただきました。それぞれの発言をピックアップしました。

司会進行:齋藤敦子氏(フューチャーワークWGリーダー、コクヨ株式会社RDIセンター主幹研究員)

「クリエイティブシティ」というキーワードは、日本語でいうと「創造都市」。21世紀は都市の時代であり、その主役は人間です。このセッションでは、「生活者という側面も含むワークスタイルと都市の関係」をテーマにしたいと思っています。短い時間でクリエイティブシティとエッジシティを紐解くのは難しいですが、バックグラウンドの異なる3名のパネリストの方に、話題提供していただきながら創発的に進めていきます。
紺野先生からは知識創造とイノベーションというご専門分野から都市の未来を、田中さんからは異業種のクリエイターが集まって働く場づくりの実践者として都市の可能性をまずはお話いただきます。その後、野村さんに社会という視点でワーカーと企業経営の現状を俯瞰してもらいながら、都市の話からリアルな働き方の話へと、会場の皆様も何かインスパイアされるようなキーワードを出していきたいと思います。

パネリスト1:紺野登氏(多摩大学大学院経営情報学科 教授)

エッジシティは、都市と郊外の境界、つまり「エッジ」に新しい生活や経済が生まれるという考え方。もともと、米国のジャーナリストが20年ほど前に書いた本の中に出てくる言葉です。それまでの都市政策といえば、都市の周辺に郊外があって、経済と生活とが分かれているものでした。ところが、そこで様々な問題でてきたため、郊外に自然や経済、商業、娯楽、住宅が集積するエッジシティというものを考えるようになったのです。エッジシティにはいくつかの条件がありますが、とくに大事なのは交通の要衝であるということです。二子玉川のように、鉄道の沿線にあるということは、とても重要なことなのです。

21世紀は都市の時代。これまで農村や郊外と都市の人口比率は7:3でしたが、2010年に逆転しました。都市の動きやパワーが、これからの経済に大きな役割を果たしていく時代となのです。とは言っても、これまでのような、都市と郊外とに分けた考え方ではありません。様々なエッジシティの組み合わせというスタイルが形成されていくだろうと予想されています。これからの日本や東京の豊かなあり方を議論する場所が、二子玉川のようなエッジシティにはあるのです。

これからは、これまでとは違う働き方や経営を行っていかなければなりません。とはいえ、郊外からの通勤はエネルギーも浪費するし、共働き夫婦は子供を育てるのが大変になります。そこで、それを解決するのが、都市の構造を変える発想であるエッジシティです。大企業が率先してそのシステムを作っていくなど、チャレンジがされていくことでしょう。

パネリスト2:田中陽明氏(春蒔プロジェクト株式会社 代表取締役 co-lab主宰)

私たちは、インディペンデントに活動するデザイナーや建築家、アーティストなど異業種のクリエイターのためのシェアード・コラボレーション・スタジオ、「co-lab」を主宰しています。目指しているのは、既存の企業組織型でもない、単なるフリーランス形態の個人型でもない、その中間的な領域である「集合型」のプラットフォームです、

こういった場所があると何ができるのか。たとえば、300人のクリエイターが集まる場に、仕事が投げ込まれたとしましょう。ひとりひとりが仕上げる例と、チーム単位で仕上げていく例とがあります。ときには、地方の中小企業からオーダーを受けることもあります。
これらの背景には、新しい働き方が生まれてきているということ、そして、クリエイティブが単にデザイナーだけではなく、企業とのコラボレーションによって作られるようになってきているという現状があります。

大企業とクリエイターのコラボレーション、地方とクリエイターのコラボレーションなどを通して作る街は、創造的であり健康的な環境を作ります。クリエイティブワーカーのネットワークで都市を作るというのは、東京の今度の課題になっていくと思います。

パネリスト3:野村浩子氏(日本経済新聞社 編集委員)

「エッジシティにおけるクリエイティブ・ワークスタイル」を考えるとき、「職住一体型の新しい街における新しい働き方の創造」ということが一番大きなテーマになるかと思います。なかでも重要なことは、「新しい働き方の提案」ではないでしょうか。戦後長らく、日本は夫婦共働きよりも片働きが主流となっていましたが、今は完全に逆転しています。ところが、日本の企業の枠組みは、変わらず男性社員が専業主婦の奥さんをもって働くというスタイルがベースになっています。今まさに、ワーキンググスタイルを問いただすべき時がきています。

現在、働きたくても働けない女性が300万人以上いて、この方たちが働けば、労働力人口が5%アップすると言われています。また、70歳を過ぎても働きたい方や、若い男性で子育てしながらバランスよく働きたい方も増えています。そういった様々な価値観をもつ人たち、多様な働き手が無理なく働けるようなワークスタイルを考えなければいけない中で、エッジシティは非常に重要な役割をつとめるのだと思います。

企業はこれから、仕事を創造する優秀な人材をひき付けるには、発想転換が必要です。「時間と場所を固定した形で、目の前の社員をマネジメントする」といった時代から、「時間と場所にしばられない柔軟な働き方を認めていく」「目の前にいない社員をきちんと評価する」といった時代へとシフトしていく必要があると思います。

クリエイティブ・セッション2:都市における生物多様性とは?

続いて行われたセッション2のテーマは、「都市における生物多様性とは?」。コンソーシアムの次世代環境ワーキンググループでは、モデル都市である二子玉川を流れる多摩川の生態系を再現しようという新しい試みもされています。そういった取組みを通して、都市における生物多様性について、パネリストが語りました。

司会進行:朝田志郎氏(次世代環境WGリーダー、株式会社日建設計 設計部長)

「生物多様性」というと、なんとなく、「緑を植えます」とか、「ボランティア精神に長けた人たちが自然保護を訴えている」いう話にとらえられがちですが、そうではないということに、多くの人が気づき始めていると思います。私たちは開発者として、実際にそこに何を埋め込んでいけばいいのかを、今よりもっと考えなければ、生物多様性にはならないし、次世代につなげていくことはできないと思います。国分寺崖線と多摩川の間にどんなピースを埋め込んでいけばいいのか、何を思いとして入れていくことが大事なのか、皆さんにお聞きしたいと思っています。あわせて、次の世代にどうつないでいくべきかも、お聞きしたいと思います。

パネリスト1:澁澤寿一氏(農山村支援センター 副代表)

昭和27生まれの私は、子供の頃からこの地に暮らし、二子玉川を見て暮らしてきました。多摩川は江戸時代から、鮎や鮭や鮎がのぼる、有名な清流です。多摩川が清流だった理由のひとつに、江戸時代は世界最大の都市だったにもかかわらず上水道が完備され衛生だった、という背景があります。フランスのセーヌ川では、渡し舟が転覆し、メタンガスで二百数十名が窒息死していたその時代に、多摩川には鮎がいたのです。つまり、徹底的にリユース・リサイクルをする、ゴミを出さない、モノを大切に使うという、日本人の価値観や精神が、清流を作っていたのです。もう一度この風景を作り出す、生物多様な社会を作り出そうとしている今、私たちはどんな価値観を持ち、どういう思いを抱くのでしょうか。

私の小学生時代、多摩川脇の湧水には、養殖場から逃げたニジマスがいて、それをよく釣りに行ったものです。岡本町には延々とキャベツ畑が続いていたし、その中に観音様がいた。今考えると、まるで夢のような、まさにジブリの世界でした。それが変わりだしたのは、70年代。それまで生物多様性の上に成り立っていた社会から、高度経済成長へと突入していったのです。たしかに生活は豊かになったけれど、多摩川は変わってしまった。今、多摩川はまた美しくなり、鮎がのぼる清流になりつつあります。今、多摩川をもう一度見つめ直しながら、自分たちがこれから経済的・物質的な豊かさの他に、どういう価値を築いていくのかを考えなければいけない時期に来ているのだと思います。

パネリスト2:指出一正氏(株式会社トド・プレス ソトコト編集長)

僕は二子玉川が大好きです。この街ほど、健康と環境を考えられる環境はないからです。今の二子玉川には、澁澤先生の幼少時代と同様の環境が息づいています。河川敷では野性のノビルも採れるし、川海老もとれます。地形をそのままに残している上野毛自然公園もあるし、我が家のベランダにはノコギリクワガタが飛んできたこともあります。

生物多様性は雑多であり、多くのものが混じり合う環境が大事です。僕たちは生き物としての人間の交流として、世代間の交流をすることが大事だと思い、あることを仕掛けました。それは、「隣人祭り」というもので、ひとつのマンションの中で、年に一度、中庭に住民が集まり、顔見知りになるまで交流するというアクションです。

環境問題で、「緑化を進めよう」とか「生き物を守ろう」という以前に、寸断されている自然が多すぎるんです。僕たち人間は移動ができる生き物ですが、他の動物は、そうはいきません。生活圏が分断され、その中に閉じ込もるしかないという状況は、生き物の多様性という意味で、あってはならないことだと思っています。

パネリスト3:平賀達也氏(株式会社ランドスケープ・プラス 代表取締役)

川の浸食作用によってできた崖地に水が滾々と湧き、そこに生物が集まる多摩川は、非常に生命力のある場所です。縄文時代は、自然を読む力を持つ人たちが住んでいた場所でもあります。日本がこれからどういう社会・地域を目指していくかを考えるとき、縄文の人たちの生き方に学ぶところも多いのではないかと思います。その土地が本来持っている力を人間が享受して、取りすぎず、次の世代に残していくという生き方に、ヒントがあるのではないかと思うのです。日本の、世界の生き方を考えていく場が、ここ二子玉川に用意されたというのは、非常に意味のあることなのではないでしょうか。

私たちは、国分寺崖線と多摩川のちょうど中間に生きていますが、断面図でみると、地続きであることが分かります。そんな多摩川らしさを考えたときに、線ではなく面でつなげていくことが大切なんです。屋上で緑化をすることは、環境を変えるには微々たる力ですが、駅前で二子玉川の自然を学べるような場を作れば、子供たちの知る風景は、どんどん広がっていきます。私たちがやらなければならないのは、世界は多様な生き物の構造の中にあって、何百万年というスパンでこの場所があるという、世界の広さや時間軸の長さを次世代に伝えること。二子玉川は、そういったことを伝えるために、とても適した場所なのだと思います。

クリエイティブ・セッション3:位置情報サービスがくらしを変える

二子玉川では、屋内でも位置が精緻に計測できる次世代のGPS技術をコンソーシアムの活動拠点であるカタリストBAに設置したり、街全体で携帯電話を使ってスタンプラリーやクーポン発行を行って回遊性を上げるサービスを展開するなど、常に様々な実験がされています。セッション3では、それら新しい位置情報サービスついて、この分野で活躍するパネリストの方々に語っていただきました。

司会進行:神武直彦氏(位置情報サービスWGリーダー、G空間プロジェクトメンバー、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科 准教授)

位置情報サービスとは、人やモノの位置に応じて情報を提供するものです。二子玉川では、「お店で自分が買いたい物についての情報を教えてほしい」とか、「電車に乗るときに、あらかじめ混雑していない車両を教えてほしい」など、そんな生活者が必要とする情報を提供することで、暮らしをよくしようという試みを行っています。

地図も位置情報サービスのひとつ。文字が生まれる前の紀元前から地図があり、大昔からこのサービスは利用されていました。現代はITの技術を使った位置情報サービス、つまり、スマートフォンやクラウドを利用した位置情報サービスなどが主流となっています。2011年のグッドデザイン大賞は、Hondaの「通行実績情報マップ(カーナビゲーションシステム「インターナビ」が収集したクルマの走行データを用いた東日本大震災での移動支援の取り組み)」という位置情報サービスが受賞しました。

そんな位置情報サービスの日本の拠点、メッカとなっているのが、二子玉川です。世界で唯一、屋内GPS「IMES(Indoor MEssaging System )」を用いた屋内位置情報サービスや、二子玉川ライズのナビゲーションやパノラマの提供、東急電鉄が中心に行っている「ニコトコ」など、さまざまな位置情報サービスが二子玉川で展開されています。今日は、位置情報サービスで暮らしがどう変わるのか、生活をどう変えて生きたいのか、皆さんのご意見を伺いたいと思います。

パネリスト1:石井真氏(測位衛星技術株式会社 取締役)

今年度は、130機の屋内GPS「IMES」を二子玉川ライズのショッピング棟につける予定です。これは世界初のことで、これに連動してアプリが動くと、世界中に注目され、ここから新しい位置情報サービスを発信できるのではないかと思います。

位置情報サービスのキーワードとなるのは「ローカルネットワーク」だと思います。インターネットはどこからでもどんな情報もアクセスできますが、その情報はあまりにも広い範囲で、ネット上で売っているものを買うことはできるけれど、誰が売っているかが見えてこない。これに対して、「ローカルネットワーク」は、その場所ならではの情報に深くアクセスできるため、誰がそのサービスを売っているのかが分かる。つまり、バーチャルではなくリアルであるのが特徴です。これから位置情報サービスを成功させるには、「ローカルネットワーク」というものがキーワードになると思います。

パネリスト2:佐藤正一氏(タッチコミュニティWGリーダー、シナジーメディア株式会社 代表取締役)

位置情報サービスで暮らしはどんどん変わります。ですが、変わったと思わせないようなサービスにすることが大事だと思います。今はスマートフォンやGPSやアプリなど、位置情報サービスを使う端末がたくさんありますが、私たちは、ただ持っているカードをかざすだけでいい「タッチ」というものにこだわっています。なぜかというと、お年寄りでも子供でも簡単に利用できるサービスであること、難解な利用規約を読まずとも匿名から入っていけるサービスであることが大事だと思うからです。もうひとつ大事なことは、情報へのアプローチが、「カードをかざす」という、自分から参加していく行為であるということ。その端末自身やタッチしている場所が目の前にあるというリアルさを、もう一度見直すことが重用なのだと思っています。カードをかざすと実際の環境も変化する。まるで、ネットを使っているけどネットを感じさせないようなサービスをめざしています。

位置情報サービスにおいて、二子玉川は非常に可能性を感じる場所です。交通の要衝であるということも、ポテンシャルが高いと思います。位置情報を活用して二子玉川を楽しむ「ニコトコ(http://p.tokyu.jp/nicotoco/)」というサービスを東急電鉄さんが行っていますが、これは、かつての鉄道事業者にはない例です。「ニトコト」のように、人を動かすプロでもある鉄道事業者と様々な業者が協力してオープン・イノベーションを展開しいくことが、日本の位置情報サービスの未来を築くのだと思っています。

パネリスト3:中澤圭介氏(株式会社宣伝会議 販促会議編集長)

位置情報サービスを考えたとき、二子玉川という場所の特性はとても面白いと思っています。二子玉川で生活している人もいれば、今日は二子玉川へ行ってみようというという人もいれば、ここを大きなビジネスの拠点にしようという人たちもいる。そういった人たちが混在している二子玉川で、どんな情報を皆さんが求めていて、どんなふうに情報が動いているのかが分かるというのは、とても興味があります。まさに二子玉川は3つの切り口からいろいろな位置情報サービスが提供できる場所。これからどんなふうに変わっていくか、メディアとして追いかけていきたいですね。

サービス事業者はどんどん増えていますが、それが生活者の習慣になるかどうかというのが、今年の大きな課題。生活習慣に落とし込んでいくための、面白い企画が出てくることに期待しています。

クロージング

最後に、松島コンソーシアム副会長から「クリエイティブシティとは」「モデル地域二子玉川が描く日本社会、未来都市のグランドデザイン」をプレゼンテーションしました。

「オープン・イノベーションが人・街・社会・ビジネスを変えていく」
松島克守氏(クリエイティブ・シティ・コンソーシアム副会長、東京大学名誉教授)

「クリエイティブシティ」には学術的な背景があり、その論旨は「都市は才能あるクリエイティブな人々を引き付け、新しい仕事を生み出すもの」「都市はヒューマンキャピタルを組織化して経済効果を生み出すもの」というものです。過去、日本の社会は工業経済が主体であり、「コストを以下に下げるか?」がテーマでした。しかしシリコンバレーの成功例のように、才能、資源、能力をすばやく動員することが、これからの日本の経済成長において大切なことで、クリエイティブクラスの人材をもっと集めて繁栄することが重要です。

しかしながら、日本でクリエイティブクラスに定義される人々は科学者やアーティストなどコアな層で150万人、ハイテク、金融サービス、法律など周辺層で400万人ほどです。アメリカではおそらくその3倍はおり、更に中国やインドという人口が多い新興国にも増えていきます。

クリエイティブクラスの人たちが好むのは、多数の就職の可能性や多様なライフスタイル、多様なアウトドア活動、健康的な環境や自然環境などです。今日の1つ目のセッションと2つ目のセッションはこの重要さを提示しています。二子玉川のみならず、先進国の諸都市が成功するには、それらを擁する街にならなければなりません。

また、3つ目のセッションで「位置情報」という通り、情報には粘着性があります。これは自分がどこにいるかを知るという意味だけでなく、グレーター東京やニューヨーク、ロンドンのように情報が集まる場所があることが都市の原理原則です。

個人的に、こんな二子玉川になってほしい、という願いがあります。それは、クリエイティブ産業の街であること、クリエイティブが集う街であること、クリエイティブクラスが住む街であること(さらに、家族と暮らしてもいいと思えるような街であること)、そして、異質や多様性を受け入れる街であること。二子玉川がそんな場所になるように活動しています。新しい日本の経済成長、地域がどうしたら経済成長できるかという答えを、二子玉川で見せていきたいと思っています。

プレゼンテーション資料はこちら