【12月1日】 ブレスポ 第2回「スポーツ・文化・豊かな暮らしを目指して」を開催しました
12月1日(日)13時半より二子玉川カタリストBAでクリエイティブ・シティ・コンソーシアム主催のビジネスアイデアセッション「ブレスポ」を開催しました。ブレスポの趣旨は、参加者が情熱をもってチャレンジングな課題に取り組み、バックグラウンドの異なる人とオープンマインドでアイデアをぶつけ合いイノベーティブなアウトプットを生み出すことです。
2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定して盛り上がるなか、今回のテーマは、「スポーツ・文化・豊かな暮らしを目指して」。スポーツに関心の高い45名が参加しました。
現代のスポーツは、経済、政治、メディア、教育など社会との結びつきが深まり、人材育成や地域活性化など社会課題を解決するためにも重要性を増しています。一方で、スポーツを文化とする土壌は日本ではまだ十分とは言えません。豊かな生活や社会のために、スポーツを持続的に発展させる仕組みや方法はどうあるべきでしょうか。
サッカーのプロリーグ化を実現し、オリンピック招致を成功させた平田竹男氏、スポーツの文化的価値によって生活の質(QOL)を高める活動をされている辻秀一氏、スポーツ・グラフィック「Number」編集長の松井一晃氏のスペシャルゲストとともに、スポーツを多角的視点で捉え、熱い議論が展開されました。
アイスブレイク
■ 開催概要
イベント名:ブレスポ 第2回「スポーツ・文化・豊かな暮らしを目指して」
日時:2013年12月1日(日) 13:30~18:00
場所:カタリストBA
主催:クリエイティブ・シティ・コンソーシアム
進行:コンソーシアム幹事 東浦亮典氏(東急電鉄)
参加者:45名
松島副会長より平田先生を紹介
1.平田先生 「2020年を考える」
トップバッターは、2020年東京大会招致の立役者であり、桑田真澄さん、佐藤真海さんはじめ社会で活躍する人材を輩出された早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 教授の平田先生。通産省(当時)で海外とタフな交渉を経験され、スポーツのビジネス化をテーマに大学院で教鞭をとられている現在、直近のオリンピック招致の秘話についてお話し頂きました。
オリンピック招致の最終プレゼンで、突然の病気と震災を乗り越え“本物”のスピーチで「スポーツの力」を力強く訴えた佐藤真海さんは、先のロンドンパラリンピック予選の転戦中に、スポーツ研究をまとめるため外国人選手に積極的に話しかけることで、平常心でコミュニケーションする力を身に着けたそうです。日本が開催国として心を一つにするためには、①最高の強力な選手団をつくること、②東京だけでなく47都道府県が選手の受け入れや応援で盛り上がること、がおもてなしとして必要と説かれました。ダイバーシティを受け容れて、インフラも人の心もバリアフリーに、パラリンピックの存在を皆の意識のなかに顕在化させていくよう引っ張っていきたい、と力強く語られました。
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科 教授 平田先生
2.辻先生 「スポーツ文化の意識づくり」
続いて、スポーツドクターでプロバスケットボールチーム「東京エクセレンス」GMでもある辻先生より、ドクターの道からスポーツ応用心理学を学び、世の中づくり、人づくりに目覚められた経緯と、スポーツで人生の質(QOL)を高めるためのライフワークとも言える活動の数々をご紹介いただきました。
スポーツの社会的価値を伝え、文化にまで高めていきたいと語る辻先生の情熱は、代表を務める(社)カルティベイティブ・スポーツクラブ(=人の心を耕して豊かに)にも、またバスケチーム東京エクセレンスの理念「元気・感動・仲間・成長」(=「医療・芸術・コミュニケーション・教育」に通ずる)にも表れています。「文化」には本来、音楽も芸術もスポーツも含まれるのに、日本では「体育の日」と「文化の日」、「運動部」と「文化部」が分かれているのが現状です。平成23年に制定されたスポーツ基本法前文は初めて、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」と謳っています。多くの人がスポーツに触れて、感じることでQOL向上に役立つスポーツを文化として確立したい、という先生の想いに、参加者の共感が広がりました。
スポーツドクター/「東京エクセレンス」GM 辻先生
3.マイナースポーツによるプレゼン大会
平田先生、辻先生のお話のインプットを受けて、アイデアセッションのテーマ「(二子玉川発で)マイナースポーツを普及させるには」に沿って、4種のスポーツ(日本ではマイナースポーツの範疇にあるクリケット、オリエンテーリング、ダブルダッチ、スポーツ鬼ごっこ)の普及に注力されている代表によるショートプレゼンが行われました。
(1) クリケット(NPO法人日本クリケット協会理事長 今村圭氏)
クリケットは、ボールとバットを使った野球の原型で、英国発の歴史あるスポーツ。競技人口は、世界的にはサッカーに次いで第2位だが、日本では野球人気の陰の存在。
詳細:NPO法人日本クリケット協会 http://www.cricket.or.jp/
クリケット協会理事長 今村さん
(2) オリエンテーリング(公益社団法人 日本オリエンテーリング協会理事 大里真理子氏)
地図を駆使して自然の中を走り抜く、アウトドアレクリエーションスポーツ。スキーオリエンテーリングはオリンピック種目としてビットし、選手がGPS装置をもって走るなど、見て楽しめる工夫もしている。
詳細:(公社)日本オリエンテーリング協会 http://www.orienteering.or.jp/
日本オリエンテーリング協会理事 大里さん
(3) ダブルダッチ(美しが丘ダブルダッチクラブ 林月子氏)
向かい合った2人のロープの回し手が2本のロープを回す中を、ジャンパーが技を交えて跳ぶスポーツ。
詳細:NPO法人 日本ダブルダッチ協会(JDDA) http://jdda.jp/
美しが丘ダブルダッチクラブ 林さん
(4) スポーツ鬼ごっこ(一般社団法人鬼ごっこ協会理事 羽崎貴雄氏)
鬼ごっこにスポーツとしてのルールや要素(陣地を設けて時間内に相手チームの宝を多くとった方が勝ち)を入れたスポーツ。※「鬼ごっこ」は平安時代の神社仏閣儀式「鬼ごと」を子どもが真似たもので、当時は追う人=鬼・逃げる人=子 とともに鬼から子を守る「親」の役割があったが、戦後はなくなった。スポーツ鬼ごっこでは、「宝を守る人」を復活させ、昔からある日本文化を世代を超えて共有・発信している。
詳細:(社)鬼ごっこ協会 http://www.onigokko.or.jp/
鬼ごっこ協会理事 羽崎さん
4.アイデアワークショップ&「プラチナブレイン」発表
ブレスポのメインであるアイデアセッションでは、参加者がテーブルごとに8チームに分かれ、それぞれが「(二子玉川発で)マイナースポーツを普及させるには」のテーマで多様なアイデアを出していきました。各チームとも短時間のうちに硬軟織り交ぜて様々なアイデアを集約し、発表しました。考案されたアイデアのごく一部を下記に示します。
アイデアセッション
〈クリケット〉
・野球の練習に活用する
・「ミニクリ」:狭いスペースで(サッカーのフットサルのように)短時間でもできるようにする
・英国系外資企業によるチャリティー試合を行う(点を取るほど寄付)
・シャツ、バットのデザインなどをおしゃれに
〈オリエンテーリング〉
・サバイバル能力、チームワークを鍛える
・地域活性化(ニコタマオリエンテーリング);国分寺崖線の高低差を利用したコース、タイムトライアルではなく「いいね!」の数で評価
・街コンで活用
・フォトオリエンテーリング
〈ダブルダッチ〉
・動きがキレイで芸術的なことを生かし、①音楽とfusion、②テクノロジーとfusion(跳んで発電?)③ファッションとfusion(縄の腰巻き?)
・セパタクロー作戦(若い女性のイメージアップ)
・ダンス甲子園作戦
・恋するフォーチュンクッキー作戦(音楽に合わせて)
〈スポーツ鬼ごっこ〉
・親が子に受け継ぐ、親子のコミュニケーション増進
・ローカルルールを増やす
・学校教育にとりいれる
・名称を変更する(→深い意義があるということで却下) etc…
全てのチームから発表の後、最優秀のCチームには、「プラチナブレイン」として辻先生の著書「スラムダンク勝利学」が賞品として授与されました。
5.ナンバー松井編集長 へのスペシャルインタビュー
ナンバー松井編集長×ナビゲーター東浦
セッションを終えて場も和んだところでドリンクを飲みながら、33年間続く雑誌Numberの第11代編集長 松井氏へのインタビューが行われ、皆熱心に耳を傾けました。
創刊以来、カッコイイ、面白い雑誌を目指し、とり上げるスポーツは当初は野球、それからF1、競馬、サッカーと世の関心とともに変遷してきました(Jリーグ結成が日本のスポーツの転換点。上下関係主義から「ピッチの中では平等」という実力主義のカルチャーへの転換)。
スポーツにおけるドラマや人物像を掘り下げる取材インタビューのコツは、「人間を面白がること。関心をもって下調べしてから臨み、人間の問題と地続きのものとして人間そのものを浮き彫りにすること」を心がけてこられたそうです。取材の結果、成功者の共通点として感じることは、「超一流選手は常識では測れない理屈の回路で動く“変人”であり、ルーティンの反復をとことん継続できる能力を持つ人」。
印象に残る選手としては、メジャー世界記録を打ち立てたイチロー選手と、元巨人の松井秀樹氏の名前が挙がりました(メジャーリーグに渡る直前インタビューで、結果を残す秘訣は自分にできること/できないことを峻別することとコメント)。
マイナースポーツについては、メディアで取り上げる際の視点は、「見ていて面白いかどうか、すなわち日本が世界の中で強いか、良い選手がいるか」にかかっているそうです。
市民ランナーや山ガールの増加など、スポーツをする人の層の広がりをうけて、「観る」スポーツより「する」スポーツを特集する「Number Do」が創刊され、好評であること、スポーツは若い人のものから、高齢化社会を明るく楽しく健康に生きるためのものになり、ひいては生きる目的ともなって人生の質を高めるものと語っていただきました。
6.懇親会
冬の落日は早く、多摩川の夜景をバックに懇親会が行われ、参加者間で活発な交流が行われて盛況のうちに終了となりました。
活動レポートPDF
レポート(PDF)はこちら⇒ 131201_第2回ブレスポ開催レポート.pdf
(次回ブレスポの日程はコンソーシアムHP https://creative-city.jp/ でお知らせします。)
以上